薬学生のみなさんも調剤薬局を取り巻く環境が10年前とは大きく変わっていることを、何となくご存知だと思います。

今回は、調剤薬局業界で増加するM&Aについてお伝えしていきます。

まずは、調剤薬局市場についての解説です。

個人薬局が7割を占める低寡占市場

調剤薬局の経営は、基本的には診療報酬の動向に左右されます。

2017年度末時点の国内の薬局数は約6万で、16年度末より460(0.8%)増加しています。

1997年に日本薬剤師会は薬局の必要数を2万4000としていたので、その倍数以上の水準であり「コンビニエンスストア(全国で約5万5000)より多い」というのは、この業界でよく言われる話です。

調剤薬局業界は、大手の調剤チェーンであってもシェアは3%未満。

上位10社を合わせても15%程度に過ぎません。全体の約7割を個人薬局が占める低寡占業界なのです。

 

なぜ薬局数が多いのか

これほどまで調剤薬局が増加するきっかけになったのが、20年ほど前から進められてきた「医薬分業」政策です。

かつては病院や診療所が投薬も行う「院内処方」が一般的でした。

しかし診療報酬の薬価と製薬メーカーから仕入れる実際の薬剤費の差額が大きく、医療機関が薬で利益を得る「薬漬け医療」が蔓延したことによる批判が高まりました。

そこで国は1990年代から診療報酬において院外処方箋の発行に高い点数をつけ、医薬分業を図ってきたのです。

その結果、調剤薬局の数は大きく増え、現在では院外処方箋の割合は70%を超えるまでになっています。

 

特定の医療機関に依存する「門前薬局」

調剤薬局が大幅に増えるとともに、特定の医療機関からの処方箋に依存する「門前薬局」が多いという問題が発生しました。

医薬分業の本来の狙いは、患者に対してきちんと服薬指導を行い、複数の医療機関から処方された薬の不適切な飲み合わせや重複を防ぐ「かかりつけ薬局」の育成にあるとされていますが、進捗状況は思わしくありません。

そこで最近では、調剤しか行わないような「門前薬局」については診療報酬が大幅に減らされるようになっています。

 


次回記事では、この分業率の頭打ちによるM&A増加について、引き続き解説していきます。

 

記事全編 参考文献:鈴木尚之(2019)医業経営力 幻冬舎

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