前回記事に引き続き、調剤薬局業界のM&Aについて解説していきます。

分業率の頭打ちでM&Aが増加

データを見ても近年、分業率の伸びは頭打ちになっています。

出典:厚生労働省ホームページ(薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方(その2)

これは、調剤薬局の新規出店が難しくなっていることを意味します。

実際、大手調剤チェーンの出店ペースは2013年をピークに低下しており、その代わり今度は既存の調剤薬局を吸収合併するM&Aが増える傾向にあります。

大手のみならず、中小企業や異業種からも薬局のM&Aに積極的な姿勢を示すところが現れており、今や年間1,000店舗のペースでM&Aが行われているといわれます。

大手チェーンへの報酬改定の影響

◇月1,500枚前後の処方箋を応需
◇特定医療機関からの集中率85%越え
◇基準調剤加算取得

例えば上記ような店舗を、グループ全体の処方箋受付回数が月4万回を超える大手チェーンに譲渡すると、報酬は下記のように変わります。(2018年度診療報酬改定時)

◇調剤基本料 41点⇒15~20点
◇基準調剤加算 32点⇒0点

マイナス47~52点と、大きな収益減少となる計算です。

このようにこれまでM&Aにおいて優良とされてきた薬局で、評価がされにくくなってきました。

買収におけるハードルは高くなっているといえます。

ただし、このグループ全体の処方箋受付回数が月4万回を超えない中堅チェーンの場合、M&A買収店舗の減算影響は軽微であり、M&Aメリットはまだまだ残っています。

今後の報酬改定

薬局にはそもそも、患者本位の医薬分業実現に向けて、服薬情報の一元管理、それに基づく薬学的管理・指導、24時間対応・在宅対応など、かかりつけ機能が求められています。

そのため、最近の報酬改定では在宅医療推進への方向転換がはっきりしており、基準調剤加算の算定要件に在宅医療での実績が加わっています。

大手チェーンであっても個人薬局であっても、こうした国の方針に対応していない限り、調剤薬局の経営は次第に厳しくなっていくでしょう。


 

低寡占市場である調剤薬局業界のM&Aは、友好的M&Aと言われ、ドラマや小説のような「食う食われる」という世界ではありません!

大手や中小チェーンの傘下に入ることは、今や経営戦略の一つの方法として、薬局経営者にも浸透しています。

 

また、生き残る薬局というのは「規模感」でも「売上高」でも判断できるものではありません。

個人薬局でも、門前薬局を脱却し、飛躍的な成長を遂げている薬局は多くあります。

就職活動の際は企業の「成長率」に目を向け、自分の成長に繋がる職場を探してみてください。

 

記事全編 参考文献:鈴木尚之(2019)医業経営力 幻冬舎

こちらの記事もおすすめ