薬学生の体験談を紹介するこのコーナー。
今回は、実務実習の体験談を静岡県立大学5年・所春奈さんに取材しました!

薬局か病院か、進路を迷っていた所さん。
実習でそれぞれ薬剤師の活躍する姿を見て、方向性を決めたそうです。
実習中にどんな気付きがあったのでしょうか…?

最後の在宅訪問に同行

個人宅への在宅に同行したのですが、
たまたま、薬剤師の方が4月から異動するタイミングで、
患者さんと会うのは、その日が最後だったんです。

薬剤師の方は患者さんに対して
昔された手術なども気遣いながらお話されていて、
患者さんも薬剤師の方を信頼しているのが雰囲気で分かりました。

今日で最後の訪問だとお伝えすると
患者さんも「寂しくなっちゃうね…」と悲しそうで、
本当の家族みたいに見えました。

調剤薬局での患者さんとの接し方

調剤薬局は服薬指導に時間をかけやすいので、
会話を通じて患者さんのことを知ることができるな~と気付きました。
会話から患者さんの生活習慣が見えてきたり。

なかにはお話しているうちに
「医師の先生には言えなかったんだけど、
 実はこの前の湿布でかぶれてしまって…」と、
患者さんから悩んでいることを打ち明けていただけることもありました。

患者さんと関係性を作るために
コミュニケーションは大切ですが、
伝え方は工夫が必要だな、と思いました。

医師の先生が患者さんに伝えることと
薬剤師が話すことがズレてしまうと患者さんに不信感を与えてしまうことがあります。

患者さんに不安を与えないためにも
自分たちの知識を押し付けるのではなくて、
ヒアリングして患者さんの状況に合わせた服薬指導が重要だなと、
現場で学ぶことができました。

病院で薬剤師に求められること

病院実習も学びが多く、やりがいがありました。
病院では、病棟薬剤師が1人でその病棟に入院している複数の患者さんを見なければいけません。

その中でも患者さんひとりひとり、
その人が本当に満足できる治療方法は異なるので、
面談の中で患者さんが口にする言葉から、
気持ちを汲み取る必要がありました。

例えば、
抗がん剤治療を受けていた患者さんがいらっしゃったのですが、
ご本人は副作用が結構つらかったそうなのです。

患者さんの様子を見ながら、
副作用のガイドラインに沿って処方内容を考えて医師に提案したり、
日頃から検査値をモニターして、
今後異変がでないかチェックしたりしていました。

薬局とは異なり、1人1人の患者さんと接する時間に制限があるからこそ、
患者さんとのコミュニケーションに薬局とはまた違った工夫が必要でした。

自分のなりたい薬剤師像

現場を経験したことで、
薬局と病院ではそれぞれ薬剤師の役割が違うことを実感できました。

病院は、急性期の患者さんを早く治療し、早く退院できる状態へと導くこと。

薬局は、患者さんの回復をサポートし、健康が維持できるよう見守ること。

実習前は進路が決まっていなかったのですが、
私は「患者さんと長く付き合いたい」と思っていたので
薬局薬剤師を目指すことを決めました。

在宅先の患者さんと家族みたいに話せる、
患者さんに信頼してもらえる薬局薬剤師になりたいです。

これから実習が始まる新5年生へ「症例報告」のコツ

話は少し変わりますが、
新5年生へのアドバイスということで少し…。

実習中に大変だったのは病院での「症例報告」です。



やっていくうちにコツがわかっただんだん楽になりますが、
初めは時間がかかって、土日も症例報告作成にあてていました。

患者さんのそれまでの病気の経緯をずっと追っていくと、
かなり時間がかかって大変なのですが、
何度かやっているうちに、見るべきポイントがわかってきます

あと、私は日報を記入する際に、
後々症例報告に役に立ちそうな内容を蓄積しておくようにしていました。
そうすると後で日報をまとめて仕上げれば良いので効率的です!

大変なこともありますが、
貴重な経験なので実習頑張ってください!


▼薬局実習で「高齢者疑似体験」をしている所さん

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患者さんに寄り添う素敵な薬剤師としてご活躍されること、楽しみにしています!
インタビューのご協力ありがとうございました!

 

■インタビューにご協力くださった学生さん
静岡県立大学5年 所春奈さん

 

■取材執筆
CBコンサルティング石川紗友里